自分が一つ大事にしている価値観なのですが、このことに時間を割くことで、自分の人生に中長期でどれだけリターンが返ってくるか?ということを結構考えていることがあると思います。
これだけ見ると「タイパ」「コスパ」思考が強い人間のように思えるかもしれませんが、私が主張したいことはその逆かもしれません。
世の中が言うところの「タイパ」「コスパ」は少ない時間ですぐに効果が出るものや投資物を指していると考えています。
例えば「YouTubeの動画編集を習得して月に10万円の収入を得ることはコスパが良い」とか、これはただの例なのですが、即効性があるものについて言及する際に使う言葉のような気がしています。
僕はそのようなものに、結構懐疑的というか、即効性のあるものや事例はあまり信じていないというか、自分の時間を投下してリターンを得ようとはあまり思わないわけです。
何かを習得する際、何かをインプットする際、それは即効性のあるものであることを望むこと、人間は現在バイアスにかかってるので仕方のないことなのですが、このようなクイックネスさに魅了されてその必要性を叫ぶ人たちとは、自分は違うなあと思うのです。
僕はこの半年くらいで、古典を読むことが増えてきました。
それは「すぐに役立つものは、すぐに役に立たなくなる」という長い間昭和天皇の家庭教師を務めていた慶應学長の小泉信三の主張や、流行り物の読書について1,800年代で警鐘を鳴らしていたショーペンハウアーの影響があるかもしれません。
古典について一つ言えることは、長い間信頼を抱かれたものについては、今の時代についても有効である可能性及び、今後もその効果が認められ続ける可能性が高いということです。
このタイパを求める思想や態度には、このルールが欠落していると思います。
それはあなたの人生で、長期でどれほどのリターンをもたらすのかということです。
ファイナンスでは「NPV」という概念があります。
これが、初期投資額を含むパターンのNPVの式です。
$$NPV = -C_0 + \sum_{t=1}^{n} \frac{C_t}{(1+r)^t}$$
一応、基本式も。
$$NPV = \sum_{t=0}^{n} \frac{C_t}{(1+r)^t}$$
これは(Net Present Value)、投資案件から将来得られるキャッシュフローの現在価値と、すべての投資金額の現在価値の差を指す指標で、日本語では「正味現在価値」とも呼びます。
事業投資やM&Aなどの採算性を評価し、投資の可否を判断するために用いられます言葉ですが、例えば何かスキルを身につけるとき、あなたに二つの選択肢があったとします。
【オプションA:YouTube動画編集 】
初期投資: 200,000円 年間のリターン: 1,000,000円 期間: 3年 割引率: 年率5%
$ NPV = -200,000 + \frac{1,000,000}{(1 + 0.05)^1} + \frac{1,000,000}{(1 + 0.05)^2} + \frac{1,000,000}{(1 + 0.05)^3} $
$ NPV = -200,000 + 952,381 + 907,029 + 863,838 \approx 2,523,248 $
【オプションB:米国公認会計士】
初期投資: 1,500,000円 年間のリターン: 2,000,000円 期間: 10年 割引率: 年率3%
$ NPV = -1,500,000 + \sum_{t=1}^{10} \frac{2,000,000}{(1 + 0.03)^t} $
$ NPV \approx 15,560,406 $
となりまして、
- オプションA (YouTube動画編集) のNPVは約2,523,248円です。
- オプションB (米国公認会計士) のNPVは約15,560,406円です。
これらの結果から、NPVが高いオプションBの方が、長期的にはより高い収益性を持つことが示されています。
NPVを使って説明をしましたが、僕が言いたいことは今すぐに役に立つことは陳腐化しやすい、ということです。
つまり、人生の時間を何に投下するべきかは、中長期的なリターンが望まれるところを考えるべきであるということです。なぜならすぐに役立つものがすぐに役立たずになることは、今のような不確実性の高い時代において、ゲームルールが天変地異する可能性があるためです。
※なお、「今は激動の時代である」とか「変化の激しい」とか言うことは、ずっと前、具体的には「週刊ダイヤモンド」とかのバックナンバーに一生書かれていることです。つまり超つまらない言葉です。
例えば趣味まで話を広げてしまうと、頑張ってK-POPやネットフリックスのランキングを追うことは、あなたの人生を中長期的には豊かにしないかもしれません。(前提、それが遊びである、Just For Funであるのであれば、それはそれでいいのです。)
僕が言いたかったことをまとめると、
- すぐに役に立つことは、すぐに役に立たなくなる。そのためすぐに役に立つことを求める姿勢や考え方は陳腐なものである。
- こういうことを言っている人は例えば昭和天皇の家庭教師、小泉信三や、『意志と表象としての世界』で有名な1,800年代のドイツの哲学者、ショーペンハウアー。
- それは例えばNPVの概念によって証明できるかもしれない。
- 自分の時間の使い方を、有限なものだと認識し、積極的に古典に触れよう。
ピリオド。
サムネイル:https://www.investopedia.com/ask/answers/05/npv-irr.asp